富士見高校彼岸花日誌

「小安二郎監督の彼岸花を継承し、富士見高校と共に見守る」

 小津安二郎監督ゆかりの彼岸花を皆様にご紹介できることを大変光栄に思います。

小津監督の邸宅の庭で美しく咲き誇っていた彼岸花は、監督の姪にあたる小津亜紀子さんが長年大切に育ててこられました。

この度、その一部を映画祭にて譲り受け、この貴重な花を後世に繋いでいくことになりました。

この彼岸花を、国内でも高い技術力を誇る農業高校である富士見高校に預け、栽培していただいています。

富士見高校は、平成24年の日本学校農業クラブ全国大会プロジェクト発表の部において「最優秀賞」と「文部科学大臣賞」を受賞するなど、その高い農業技術は折り紙付きです。

また、東京オリンピックの選手村で使用されたグローバルGAP認証の安全・安心なトマトを学校内で栽培するなど、実学を重視した教育にも力を入れています。

このように、農業分野において卓越した実績を持つ富士見高校の生徒の皆さんには、今回、映画祭の司会を務めていただくことになりました。普段は畑仕事に励む生徒たちが、映画祭という新たな舞台でどのような活躍を見せてくれるのか、私たちも楽しみにしています。

生徒の皆さんは、日々研鑽を積んでおり、今回の司会という新たな挑戦にも熱意を持って取り組んでくれることと思います。映画祭という舞台は、生徒たちにとって普段とは異なる貴重な経験となるでしょう。

また今年度は、会場内に生徒たちの活動展示コーナーを設けています。

中でも、彼岸花を栽培する「バイテク部」は、収穫した彼岸花を新たな視点で活用しようと、昨年から彼岸花で草木染に挑戦。
今年はシルク製品を染め上げました。まるで燃え盛る炎のような深紅はいったいどんな色を生み出すのか。

一方、美術部は、地域の放置竹林の竹をアート作品へと生まれ変わらせました。

竹筒に彼岸花と秋刀魚をデザイン。
もちろん小津映画の「彼岸花」と「秋刀魚の味」からイメージしたものです。

儚い光を灯すオブジェを制作しました。

この作品は、23日からの短編上映会場、ピアノマン。
28日、29日は茅野市民館ロビー特設会場で皆さまをお待ちしております。

映画祭では、初めてのことばかりで至らぬ点もあるかもしれませんが、温かい目で見守っていただければ幸いです。

2024年9月25日
学生対応委員会 委員長


2024年9月23日(月)小津安二郎記念・蓼科高原映画祭、開催初日!

小津家安二郎監督の愛した彼岸花を小津家から引き継ぎ育ててくれている富士見高校のみなさんと、今年の彼岸花で、

富士見高等学校バイテク部が「彼岸花」で草木染め体験

小津安二郎監督ゆかりの彼岸花を育てている富士見高等学校で、9月23日に彼岸花で草木染め体験を実施しました。 小津監督の邸宅の庭で美しく咲き誇っていた彼岸花は、監督の姪にあたる小津亜紀子さんが長年大切に育ててきました。その一部を映画祭にて譲り受け、貴重な花を後世に繋いでいくことになり、国内でも高い技術力を誇る農業高校である富士見高等学校に預けて栽培していただいています。 彼岸花を栽培する「バイテク部」は、彼岸花を新たな視点で活用しようと、昨年から草木染めに挑戦。今年はシルクのバンダナを染めました。燃え盛る炎のような深紅はいったいどんな色を生み出すのか?!



朝から学生たちが彼岸花を採取。毎年お彼岸の時期になると急に土から頭を出し、開花する不思議な花。球根を埋めた場所が分かるように目印の棒を立てています。

彼岸花の赤い色は本当に綺麗で気持ちが上がります!

白い彼岸花も。白い彼岸花といえば、笠智衆さんのお庭で育てていたのは白だそうです。


採取した彼岸花を細かく裁断して鍋に入れます。
学生対応委員会のメンバーもお手伝い

煮出した染液でバンダナを煮染め。温度は40度ぐらいからスタートして80度まで上げていきます。20分ぐらい生地をゆらゆら。体はポカポカ暑くなってきます。意外と大変ですが、みなさん、ものすごい集中力!


委員会メンバーもゆらゆら

彼岸花の染液はワインのように赤いのに。。。生地はかすかな紫。。。ちょっと不安
ミョウバン媒染で鮮やかな薄紫に色が変化!「きれい!」の歓声!

赤い花からこんな色が!草木染めを研究テーマにしている学生さん。熱心に質問とメモと記録に励んでいました。

また、今年は富士見町の井戸尻考古館の大賀ハスの葉を特別に分けていただき、染めさせていただきました。大賀ハスは2000年以上前の地層で見つかった種から育てられた品種で、「古代ハス」とも呼ばれています。縄文時代の遺跡に隣接する場所で育った大賀ハスの葉からどんな色がいただけるのか?!


貴重な大賀ハスの葉の採取。高枝バサミも使って頑張りました。富士見高校は毎年大賀ハスの生育にも関わっているため特別に許可をいただいて採取させていただきました。


ハスの葉はお茶として飲めるので煮出した染液は完全にハス茶の色。染める生地はシルク100%のバンダナ。せっかくなので、ビー玉と輪ゴムで絞り模様を作ることに。みなさん、手先が器用であっという間に絞っていきます。


ミョウバン媒染で鮮やかな黄色に!古代ハスの色はやはり高貴な色でした。
輪ゴムとビー玉を外してみると・・・

みなさん、見事な絞り染めになりました!
彼岸花(鉄媒染でカッコいいブルークレイに)とハスの葉で染めたバンダナ

実は彼岸花は縄文時代に中国から日本に渡来した花だそうです。偶然ですが縄文で繋がった草木染め体験になりました。小津監督が夢にも思わなかった展開が、現代の高校生たちの手で形になり、今年の映画祭会場に展示されます。
彼岸花を育て、「彼岸花」を想う。富士見高等学校の皆さんの夢は、いつか校内に彼岸花が一面に咲き誇る場所を作り、小津の彼岸花の名所にしたいとのことでした。

夢は校内一面の彼岸花畑。富士見高校のみなさん、ありがとうございました!


映画祭会場の、茅野市民館ロビーで、富士見高校のみんなの作品を展示します。
素敵な作品たちも一緒に。
ぜひ!映画と一緒に目を楽しませにいらしてください。

当日は、彼ら彼女たちが、会場ボランティアやMCなどでも力を貸してくれます。
若い力に心から元気をもらっている映画好きの大人たちです。


小津監督!素敵なご縁をありがとうございます!!



小津家ゆかりの彼岸花を通して、長野県富士見高等学校 バイテク部のみなさんと素敵なご縁が繋がりました。

小津家の庭は、季節になると庭一杯に彼岸花が咲き誇ります。小津監督の愛した彼岸花を受け継ぎ育ててくださると手をあげてくれた富士見高校のみなさんと、小津安二郎監督の姪っ子、小津亜紀子さんのお宅へ彼岸花の球根を採集に行ってきました。


⇒ 富士見高校バイテク部

映画館離れが進む昨今。
小津監督が作った映像文化の歴史はきちんと私たちの世代に引き継がれているでしょうか?
そしてこれからの世代に伝えられていくでしょうか?
小津安二郎記念・蓼科高原映画祭では小津監督・野田高梧さんの生み出した映像文化への情熱を守り、広げ、伝えてまいります。


小津安二郎監督の姪っ子、小津亜紀子さんより彼岸花を引き継いで育ててくれている
長野県富士見高校 バイテク部のみなさん